親奥様・・・

和子が子供の頃の父親は亭主関白で家の茶の間でも正座に座り、黙って

悪さをすると怒鳴り散らし怖い存在でした。その反面、母親は温厚で

優しく見守って呉れるお母さんでした。又何人も兄姉が居ても仲良く

温かい家庭が多かったです。

 

所が山中家の親奥様は42歳で未亡人に成って6人の子供を育て静岡の

お店も守って来た方だから・・・一般家庭のお婆さんとは掛け離れた存在でした。

自宅のお嫁さんは365日一緒に住んでるから全てを知り尽くしているから

かも知れませんが、本宅の若奥様は長浜のお百姓さんの娘さんとかで

余り山中家にはメリットが無いのだそうです。

次男は養子に行って例外ですが、3男の末息子さんのお嫁さんは、聞く所に依ると高島屋の支配人の娘で高島屋デパートの品物を安く手に入れる事が出来るとか?又3男の息子さんは大津のトヨペットの社長とか?

此れは2人のお手伝いさんのお話しだから・・・実の所は良く分かりませんが

何せ、若奥さんをかなり、目の敵にされて居るのが新人の和子にも良く分かります。

偶に長浜のご実家に用事で若奥様がお帰りに成ると台所に来て引っ掻き回し

若奥様の悪口を言う・・・又旦那様が静岡のお店に行って2~3日帰って

来られないと・・・嫁いびりが始まる。

 

数日が経って旦那様がお店からお帰りに成ると若奥様は当然の如く旦那様に

親奥様の愚痴を零されるかと思いますが、やはりお小さい頃から育てて貰ったと言う

気持ちからか、旦那様は「もう老い先が短いから我慢をして遣って欲しい」と言い

若奥様の味方はしないそうです。せめて夫婦2人の時は温かく、優しく

見守って上げれば良いのに・・・

 

【振り返り 犬が気遣う 散歩道(シルバー川柳)