和子のこぼれ話-74〜母の思い出―5〜

母が赤い表札を付けられた病室から無事に退院して、相変わらず時々
腹痛で苦しみましたが、認知症の気配は見受けませんでした。
母は和子が幼い頃から「義雄(兄貴)夫婦には老後に世話に成るから〜」と
姉さんの悪口は微塵も言いませんでしたし、零す事も無かった様です。
だからと言って姉さんは「すこぶる良い嫁さんだ〜」とは世間の人は
見て無かったと思います。其れだけに世間の人は「おきのさん(母)は
仏様の様な人だ・・・」と言う人も居た様です。


そんな母も80歳を過ぎた頃から下がゆるく成りお漏らしをする様に・・・
月日が経つにつれて、お漏らしも酷く成り・・・アチコチに濡れた下着が?
姉さんは洗濯が大変だったとか?
そんな情報を兄ちゃんが和子の所へ電話をして来て・・・
「かーこ困ったもんよ〜〜〜?お母さんがお漏らしが激しくって家中臭くって
オムツをして遣っても脱いじゃうし・・・」


その後も、腹痛を起こすと君子や姉ちゃんの所へ「もう今度は死ぬから
見に来て欲しい」と言っては電話を掛けて、君子や姉ちゃんが帰ると
「死ぬ」って誰が?って思うほど元気だったとか?やっぱり娘は良いみたい?
和子は遠く離れて居るから、和子の事は言わなかった様です。
偶にお盆だからって里帰りをすると母の部屋中所か家中がオシッコのに臭い
遠く離れて何も出来ない和子は(このオシッコの臭いを消す薬は無いのかな?
こんなに迄して・・・姉さんにお世話に成るより、早く成仏させて上げたい)
憎しみでは無く、和子は本当にその様に感じる様に成って初めて・・・
こんな感じで親子の情も薄れて行くんだな?って思いました。